子供のボイトレについて   

数日前、インターネットの私のホームページの「ボイストレーニングRepeat」というサイトを見て、児童合唱団に通っている歌が大好きな子供さんの「声がこもりやすい」「滑舌が悪い」という難点を直し自信を付けさせたいが参加は可能ですか?というお母様からのFAXを受け取りました。

最近は子供の指導は殆どしていません。(例外的に、とてもしっかりした小学生高学年のハワイアンダンスに夢中な女の子の個人レッスンを一人だけしています。大会で全国毎年優勝をするそのダンス教室は、ほぼ毎日練習があり、群舞だけでなくウクレレの弾き語りやソロで踊りながら歌うというのもあり、彼女は選ばれて大舞台で歌う事もありました。)

以前は、アマチュアの為の地域児童劇団「青い鳥シアター」と、プロ志向のジュニアミュージカルや音楽ライブ企画団体「HOT CAT COMPANY」を主宰し指導していたので、多くの子供達を指導しました。
自宅でのピアノや歌、はたまたジャズダンスやタップダンス教室、いくつかのプロダクションのボイトレ・インストラクターなどの仕事もあり、小学生から高校生の生徒はグループも入れると漠然と大雑把に考えても300人以上、いや500人、ひょっとするともっといるかも知れません。
その期間は私自身の子育て中とも重なり、大人の都合で彼らの生態を矯正してしまうようなやり方はどうしても出来ませんでした。それが良かったか悪かったか・・・とにかく、訓練をもってして彼らの小さな肺を鍛えて強靭にするというような事は、自らの育児方法に反するので出来ず、面白いアレンジややり方などをあれこれ考えて彼らをその気にさせ、嬉々としてやっている様子を見て自分も幸せを感じる、というスタイルが私のスタイルでした。たぶん、今もそうです。並びの悪い歯も矯正しなかったし。あるがままを受け入れ愛でる、という感じかな。
でも、そうではなくこうでしょ、という基準はある。ピッチ(音程)が狂っているのはハーモニーが気持悪いしメロディーのエネルギーが到達しないので、それは違う、こうすればいい、という事は言う。曲構成の理解や音色なども、それは何も考えて無いでしょ?例えばこうするとか、色々やり方考えてご覧、というような事は言う。ピアノなら、技術的に弾けない箇所、歌はメロディーか歌詞がうまく歌えない、というのは単に練習不足が殆どなので自分自身の問題で教える対象にならない。その場合は、やる気になる方法とか自習の方法の一例を教えるなどという、低レベルの生活指導をやるだけ。まあそうやって、おだててレッスン費を戴き、我が家の生活を支えていたのでした。
そんな訳で、だいたい自分が学習中なのに、教える、というタイプにはどうしてもなれない私・・・。

久しぶりに、小さな子供さんのレッスンについての相談があったので、そんな事を思い出しながら返事を書いたら、それが私の「子供時代のレッスンに対する考え」を表しているので、ここにメモとして残しておこうと思います。


FAXで相談された方への私の返事。
「11才と5才のお子さんの参加についてのご相談、ですね?
このトレーニングは一見とてもやさしいので、本人達が心身ともに受け入れるならば、参加は可能です。

現在の参加者は30代~70代で、世田谷こども劇場のスタッフのお母様もいらっしゃいます。また上町児童館で紙芝居などの読み聞かせをしているプロの声優さんやアマチュアの読み聞かせお母さん、保育所でアルバイトをしている舞台俳優のお姉さん、下北沢の鍼灸師のおじさん、ストリート弾き語りミュージシャン、花屋のおばさん、ピアノ教室の先生、通訳志望のサラリーマン、など、各自それぞれの必要性から参加しています。

指導、という感じではなく、私が「自分のメンテナンス」の為に定期的にやっている事(ラジオ体操やストレッチ、腹式呼吸、表情筋・発声・活舌練習、朗読など)に、お付き合いいただきく、という形ですので、指導に付き物の「説明する」「直す」「各自のニーズに合ったテキスト」には対応していません。
もしかしたら読めない字があるかもしれません。特に5才のお子様は、お母様と一緒に出来るところだけ選んでやるしかないと思います。

しかし朗読は学校演劇の研究が充実している玉川大学出版の小学生と大人の為の台本を使っていますので、11才の方には向いているかもしれません。歌は最後に「花」などよく知られた曲を指導もせずにサッと歌っておしまい、という感じで、時間が足りない時は省く場合もあります。


子供は周囲の環境や生来の性格によって、その年令時点で、出来る出来ない、言い換えれば受け入れられる受け入れられない、という事での個人差が大きく、また、ご相談の「声がこもりやすい」「滑舌が悪い」というのは、単に技術的な事でなく、歯の生え方や潜在的な考え方・感じ方という精神的な事、その他色々な要素が原因です。



私個人の考えを述べますと、
そういった事象は他の見えないマイナス面をカバーするための防御策でもあり、心を開けば解決しますが、花の咲く日程は全ての花が違うように、合唱団で歌う時一斉に同じ様に出来るはずはないと思っています。特に子供は自然の花々と同じ自由な個性が残っています。
むしろ急がず、そういう個性(マイナスと思える事象も含めて)を受け流して良い所だけを褒め、今やっている事を少なくし、集中出来るようにするのがベターだと考えます。
何が出来るかということよりも、彼らの対象である合唱の内容(歌詞やハーモニー、メロディー)の面白いところの発見で興味の幅を広げさせる誘導に親が努力し、また仲間との掛け合いやハーモニーの素晴らしい部分を細かく発見してあげて感想を述べ、CDやインターネットで同じ様な映像や音源があったら紹介して親も個人としての感想を述べたり自分の音楽観ややってきたことなども話す、そして子供達自分自身がそれを楽しめることに気付かせていく、今あるものを利用して深めさせてあげる、という事が特に今の時代は大事だと思います。

彼らの時間割を考えると、細切れに新しい事を時々やってもストレスになるだけで、ますます呼吸は浅くなり口ごもりパワーが無くなると思えます。学校生活もありますから、夕食の後は家庭でクールダウンしてたっぷり寝るべきです。

「訓練」は、自分にとって好きな事が何なのか自覚し、足りないものを補いたいと自分で理解する10代半ばにこそ始めるべきで、また、身体成長が出来上がってからでないと実は子供時代(子役時代?)に限っての訓練になります。必ず中高生時代に1回そのスタイルから脱皮しますから、一生を豊かにしたいと思えば、子供時代は矯正しない方が良いと思えるのです。

私には、子供時代に歌や演劇レッスンをしたお子さん達がたくさん居ます。もうみんな大人になりましたが、中には芸大の声楽科やヤマハのポピュラーボーカル科、桜美林の演劇科、日大芸術学部、桐朋学園演劇科に進んだ人、またドラマや舞台で活躍している人など、たくさんいます。今は子供への指導はしていませんが、その経験から、その年令のお子様達にはよく学びよく遊び健やかに育って欲しいと思えるのです。いかがでしょうか?」


以上。

しかしまあ、子供時代に始めないと追いつかないものもありますね。ピアノとか。
ただ、ボイトレの場合は心身の成長ととても関係性があるので、無理は禁物と思います。音楽のサウンドに浸る事は色々な楽しさ喜びがありますが、それは他の事に目をつぶるという面もあります。
上手になる、上手になりたい、というところの目的は、その喜びの中でもっと楽しみたい、というところで止めておくのがアマチュアの良いところ。プロというのは、その楽しみの先にある、音楽することの意味を常に考え続け探求しなければならないと思います。いや、プロにも職人と芸術家とがあるけれど、演劇を長くやってきた私にとっては、音楽活動においても後者を選んでしまう。

大人になってからのボイトレは、シンプルな作業だけど、奥が深いです。
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by imamusic | 2013-11-15 13:29 | 日々徒然 | Trackback | Comments(2)

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Commented by ジュリアン at 2013-11-15 18:26 x
ボイトレがそんなにも奥深いなんて…驚くやら感心するやら(^O^)
そういえば、子供たちは楽しそうでしたよね!
大人はやはり自由で楽しかったのだけど、おかげで調子に乗りました。でも、やるなら楽しくなければ!って思っていましたから、幸せでした。
今頃ですが、ありがとうございましたm(_ _)m
GERAさんに出会えてよかった(^_^)v
Commented by imamusic at 2013-11-16 09:06
ジュリアンさんと会えてよかった(^_−)−☆

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