明日のプログラムには「戦場のメリークリスマス」がある。大島渚監督の旅立ちを思う。   

明日の聖蹟桜ヶ丘ヴィータホールでの「昭和の名曲コンサート」のプログラムは19曲。その内容に思いを馳せている。

「テネシー・ワルツ」は、今年の元旦に亡くなったパティ・ペイジが昭和25年歌って大ヒットした。私達の世代では江利チエミさんの歌が懐かしい。この歌は日本語と英語を交ぜていつも歌う。昭和の時代の訳詞は素晴らしいものが多く、外来曲であるのを忘れてしまうほど。昭和ジャズの代表曲でもあるが、現在のようなグローバルな時代になる前の純日本的なものが舶来音楽に上手くハマッている事に今改めて注目する。

「ひまわり」は、ソフィア・ローレンが主演した反戦映画の傑作。映画が大好きな筒井政明さんのミュートトランペットがいつも素晴らしく、情景と心情を彷彿とさせる。これだけは楽器演奏だけでいきたい。「シェルブールの雨傘」「ムーン・リバー」と、私の歌も入れて映画音楽が続くが、映画音楽は物語の内容を思い出させ、多くのメッセージを暗に伝える。

その映画音楽のひとつ「戦場のメリークリスマス」は、私の琴線に触れる。坂本龍一作曲のこのピアノソロは美しく哀しい曲だ。ここ1~2年、何か大事な私の自主ライブの時には、この曲をプログラムのどこかに挟んでピアノ演奏している。自分の生きた時代での大切なメッセージを、この曲は何も言葉も発さず、ただピアノだけで的確に語っている。この映画を作った大島渚監督は、出来上がったこの曲を聴いて「映画の90%がイメージできた」と語ったそうだ。音楽は偉大だ。そして映画や演劇の強みとのコラボレーションが上手くいくと、とても強力でストレートな表現として人々の心に突き刺さる。

その大島監督が数日前の1/15に亡くなった。テレビに映る葬儀の築地本願寺は、かつて毎月のように隣の第一伝道会館ことブディストホールで、かつてのパートナーと演劇や音楽ライブを自分達の運営する事務所主催で行っていて懐かしい場所だが、そのパートナーも亡くなった。色々な人が大島監督の生き様を語り改めて「闘う芸術家」だった事を認識した。
それで思い出したが、数年前よく行っていた武蔵小金井のフラワーホールのオーナーのHさんが作った「それから」という詩を、シャンソン風に、という依頼で曲を付けた。それはパリの風景の中での恋物語の詩だが、「それから」というのは彼が作ったという東小金井のシャンソニエの店の名前でもある。ある日そこのママで歌手のS女史に紹介され、S女史の古くからの友人達のパーティーで「それから」の弾き語りを披露することになった。そのパーティーメンバーは京大の演劇部「創造座」創部メンバー達だった。その場では仲間であった大島渚さんの学生時代のエピソードの話が良く出た。そして何故か、皆老いて尚「闘う芸術家」たらんと同じ匂いのする人達だった。

大島監督が残したいくつかの言葉を何人か言ったが「自由で素直で大胆であれ」は響いた。また彼の座右の銘「深海に生きる魚族のように自ら燃えなければ何処にも光はない」にはドキッとさせられる。作品をたくさん観た訳ではないが足跡が深い強いのはわかる。そして目は、こちらを向いている。明日、とにかく「戦場のメリークリスマス」を弾いてみます。そして「それから」も歌おう。

愚かで哀しく愛おしくさえある、戦争末期の空中に飛行する戦闘機からの爆弾がザラザラと落ちるモノクロの映像に、そのピアノ曲が流れる動画がYou Tubeにある。同じようなイメージが、一昨年の津波の映像にもあり、更に原発の映像にもある。終戦以来長い間観たことの無い空虚感のある実態が未来へ繋がっていくのを感じていた。知恵と人の繋がりがとても大事…友人しおみえりこさんがやっている被災地宮城県石巻市の呉服屋さんとのコラボ「ちくちくきものプロジェクト」を、明日のコンサート会場が近いという事から、コンサートで紹介することにし、彼女の住む西立川に縁の深いユーミンの「雨のステイション」を歌うことにした。ユーミンは高校生時代に立川米軍基地内のディスコから八王子の自宅に帰る時、基地の出入り口のある青梅線西立川駅ホームで始発電車を待ち乗ったらしい。その体験を元に作詞作曲したものだとのこと。私は3才から9才まで、青梅線のその先の昭島駅の近くに住んでいた。西立川駅はあの頃、駅の裏に鉄条網があり、そのすぐ内側に滑走路があってゴーゴーブルンブルンと大きな音を立て巨大な飛行機がゆっくり移動している情景を今でも思い出す。

大島監督のように、真実をギュッと見てギュッと書き出すことも大切だ。芸術家のはしくれとして自分は恥ないように生きているのか?「自由で素直で大胆で」あり得ているか?彼の遺影がこちらをギュッと見ている。しかしまた「太陽と北風」という物語もある…と最近は、こういう状況になるとこの考えがムクムクッと頭をもたげる。男は北風、女は太陽だ。太陽的な生き方で動くものもある。そう思うと急に肩の力が抜ける。この抜き加減がまた難しいけど…まあ、なんとかなるさ。
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by imamusic | 2013-01-24 01:41 | 日々徒然 | Trackback | Comments(2)

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Commented by ジュリアン at 2013-01-28 18:43 x
25日行ってきました!
少し遅れましたが、充分に楽しませていただきました(^_^)v
次回はまたレパートリーを増やしてくださいね。楽しみにしています(^O^)
Commented by imamusic at 2013-01-30 02:38
わっ!ジュリアンさん!ありがとう!
顔を拝めませんでしたが、来てくれたんですね。
あんなホールでの出演は本当に久しぶりです。とっても気持ちよかった。おきゃくさま達もたくさん喜んでいただけたようで嬉しいです。レパートリーね。どんな曲をやったらいいかな?

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